CULTURE 2026年7月29日
iUらしさとはなんだろうか【iU同窓会】
iU1期生3人が集まって、同窓会の活動報告と、その奥にある「iUらしさ」を本音で掘り下げた収録 vol1。旗揚げ、助け合い、卒業式スピーチ、そして家族としての同窓会まで、答えを出さずに語り合った全記録。
この記事の要点
- iUらしさとは「誰かが旗揚げしてる空気」。誰かが旗を立てたら同士が助けに行き、沈んだら引っ張り出す。その空気を、そのまま残したい。
- 同窓会3年目。HP・情報管理・会計報告を整備し、他の大学にはできない同窓会の基盤をつくっている。
- これからやること。卒業生のプロジェクト・会社・趣味を集めて、ちょもろーで展示し、卒業生の経済圏をつくる。
目次
この記事は、iU1期生の3人で収録した対談の記録です。同窓会の活動報告から入って、「iUらしさってなんだろう」を、答えが出ないまま3人でずっと話しました。運営や制度の話というより、その手前にある空気の話です。雑談のなかで何度も出てきた言葉を、そのまま残しています。
3人と、この収録のきっかけ
3人はiUができる前からの仲です。出会ったのは2018年ごろ、まだ高校3年生のころでした。iUは設置の認可が予定より少し遅れて、2020年4月に開学しました(当時の名前は「i専門職大学」)。3人はその1期生です。
卒業してもう3年。その3年のあいだ、同窓会(アルムナイ)として活動を続けてきました。今回の収録では、その活動報告と、これからどんな思いでやっていきたいかを、3人で話しています。
同窓会3年目の現在地
まずは活動報告から。今年で3年目です。公式HPをつくって、情報管理や会計報告も見直しています。目指しているのは、他の大学にはまねできないような同窓会。そのための土台を、いまつくっているところです。
図 iU同窓会の運営組織図(総会・理事会・各部門)
組織としては、総会を最高議決機関として、その下に理事会があります。理事会がイベント運営やメディア発信、プロジェクトを担当します。目的は「iUがずっと続いていくこと」、理念は「イノベーターを生み出し続けること」としています。
図 目的(iUを続けていくこと)と理念(イノベーターを生み出し続けること)
交流会は2〜3ヶ月に1回ほど開いていて、1期生から7期生まで幅広く参加しています。参加者の期はいい感じにばらけていて、上の代から下の代まで、世代をまたいで集まりはじめています。ちなみに卒業しているのは1期から3期、4期から7期は在学中。7期生が今の1年生です。
図 交流会 参加者の期別内訳(1〜7期が幅広く参加)
iUらしさを引き継ぐ
ここで3人が口を揃えて一番大事だと言ったのが「iUらしさを引き継ぐ」ということでした。教授の人事異動や、連携企業とのプロジェクトが減っていることなど、iUらしい風景が少しずつ薄れているという声もあります。ちょうどこの日、3人のうち1人が自分の会社でiU生を臨時実務実習として受け入れているという話も出ました。だからこそ、外に出た卒業生が持ち帰って、もう一度火を入れていく役割があるんじゃないか。そんな話をしました。
図 iUらしさ(引き継ぐ)の6つの土台
教授のLab、産学のプロジェクト、臨時実務実習、全員起業という文化、連携企業や客員、グローバル連携。この6つは、制度になった「iUらしさ」です。ただ、この収録で話したかったのは、その手前にある空気のほうでした。卒業して10年経っても薄れないような、濃い空気。同窓会に来たらそれを感じられる、という場所にしたい。
iUらしさとは「旗揚げしてる空気」
その空気って、何なのか。3人で話してたどり着いたのが「誰かが何か旗揚げしてる空気」でした。
誰かが何かをやっている。だから同期や同士が、それを助けに行く。逆に、誰かが旗を揚げて沈没して溺れていたら、引っ張り上げに行く。この助け合いの感覚が、iUらしさなんじゃないか。名簿でつながるんじゃなくて、この空気に引き寄せられて集まる場所にしたい。
エピソードで語るiUらしさ
言葉だけだと伝わりにくいので、3人が「これがiUらしい」と思ったエピソードを出し合いました。
ひとつめは、Jさんのグローバルプレゼン。英語で自分のオリジナリティを表現する場で、いきなりオタ芸をやるやつ、アイドルの分析をするやつ、盆栽の話をするやつ。それぞれの「好き」が全開で、めちゃくちゃ面白かった。4年間ずっと見てきたからこそ、1年のときのあいつと4年のあいつを比べて「あいつ変わったな」がわかる。
ふたつめは、Yさんのカメラレクチャー。全員がカメラを扱えるようになろうという回で、KさんとYさんが必死に教えていた。高校から見てきた相手が、大学に入って必死にやっている姿に、思わず感動したという話。
そして旗揚げそのもの。1期生だから、委員会も何もかも自分たちでつくってきました。スタートアップ委員会をつくり、iUで初めてのピッチコンテストを開いた。振り返ると、一緒にプロジェクトをやるメンバーがだいたい同じで、気づけば毎回誰かが噛んでいる。誰かが旗を揚げて、それを手伝う。また次の誰かが揚げて、また手伝う。その連鎖がずっと続いてきました。
いちばんiUらしい、と盛り上がったのが、沈んだ仲間を引っ張り出す話でした。失敗する、病む、反応がなくなってしまった仲間の家まで行って、ピンポンを鳴らして、寝起きのそいつを叩き起こす。果てまで追いかけて、ドアを叩いて引っ張り出す。自分が沈んだときも、誰かがそうやって外に連れ出してくれる。それができるのが同士だよね、と。
旗揚げの原理と、卒業式スピーチ
こういうエピソードに共通する流れみたいなものも、話しながら言葉にしていきました。
そして、iUの強みは、とにかく社会が近いこと。連携企業、客員教授、地域。近いから、思いついたことがすぐプロジェクトになって、すぐ実践の場に出る。だからよくコケるし、よく燃えるし、よく失敗する。失敗したら、もう1回やればいい。ただ、いきなり社会でやろうとするぶん、傷も深い。そこで沈んだ仲間を引っ張り出せるかどうか。全員がイノベーターである必要はないけれど、その考え方を持っていれば、失敗した仲間に手を差し伸べやすい。旗を立てるのが得意なやつ、旗を支えるやつ、旗を大きく見せるやつ、最初の一人に続いて2番目に踊るフォロワー。そういう役割が集まること自体が、iUらしさをつくっているんだと思います。
ここで話は、卒業式のスピーチのことになりました。「僕にとってのイノベーション」という題で発表したときのことです。じつは朝まで内容に悩んで、朝5時に方針が変わったそうです。最初は「お前ら結局起業しなかったよな」と煽って火をつけるつもりだった。けれど、会場には親御さんも先生も地域の人もいる。代表として話す立場を考えたときに、伝えたいことが変わった。全員がどこかにイノベーターの心を持っている。旗を揚げるタイミングは今かもしれないし、10年後かもしれない。創造的破壊はイノベーションだけれど、ただ壊すだけならデストロイヤーになってしまう。だから、イノベーションを応援できるバカになろう。周りの支えがなければ、イノベーションは絶対に起きない。
家族としての同窓会
この空気を言葉にするなら「家族」だと、メンバーの1人は言います。ファミリーであり、アルムナイはホーム。うまくいったことも、恥ずかしいことも、失敗したことも、ぜんぶ共有できる。いちばん大事なのは、失敗した後じゃなくて、まさに沈みかけている最中に、誰かに言えるかどうかです。
卒業式で阿部川さんがプレゼンの最後に言った「If you feel lonely, please come back to us, anytime. iU is your home.」と、中村伊知哉さんの「We are family.」に、その場で号泣したという話も出ました。
2023年度 iU卒業式 式典(1期生)。阿部川さん・中村伊知哉さんのメッセージの場面から再生されます。
まだ存在すらしていない大学に希望を抱いて、変なおっちゃんのギターに惹かれて集まったのが1期生でした。この熱は、きれいな言葉を掲げるだけでは伝わりません。どうやって空気にして、どんな場所にしていくか。この収録でずっと話したかったのは、結局そこでした。
同窓会の歴史も少し調べました。日本の大学の同窓会の多くは、明治から昭和にかけてつくられています。たとえば一橋大学のルーツである商法講習所(1875年設立)は、渋沢栄一が東京会議所の経営委員として設立を支え、その後も財政難や存続の危機のたびに、渋沢が間に立って学校を守ってきたことで知られます。一橋の同窓会「如水会」の名前も、1913年に渋沢栄一が選んだもので、礼記の「君子の交わりは淡きこと水の如し」に由来します。会員どうしのさっぱりした交わりが長く続くように、という願いが込められています。渋沢は1927年の如水会の晩餐会で、自身が掲げた道徳と経済の合一が実現するのは如水会をおいてない、とまで語ったと伝えられています。同窓会は、ただ集まるだけの場じゃなくて、そこから経済をつくる場にもなる。iU同窓会が目指す「卒業生の経済圏」も、こういう先人たちの流れの先にあるんだと思います。
参考 公益財団法人 渋沢栄一記念財団「わがまち 一橋大学のルーツを訪ねて」、如水会
これから、そして呼びかけ
最後に、これからの話をします。
お願いは、ひとつだけ。今やっているプロジェクトや会社、趣味を教えてほしい。それをちょもろーの場で卒業生の活動として展示して、どんどんアーカイブしていく。メディアにもする。人が集まっただけなら、ただのコミュニティです。でも会社が集まって、行政やいろんな立場の人が集まれば、そこに経済圏が生まれます。
この動きは、実はもう始まっています。卒業して2〜3年、お互いに仕事の相談をするようになってきました。イベントの相談、店舗の相談、案件の紹介。これが3年後、5年後にはお金の動きも含めた経済になる。在校生やこれから入る人が「卒業したらこういう仕事やプロジェクトができる」と具体的にイメージできれば、同窓会の強みはもっと伝わる。「iU同窓会があるからiUに入りたい」と思ってもらえる場所にしたい。
卒業生は全員、入会の資格を持っています。入らなきゃいけないわけじゃなくて、会費を払えばいろいろなことが受けられます。世界中の拠点に参加できて、プロジェクトの提案や相談、紹介もできる。目指したいのは、ふとしたときに電話して相談できるくらいの距離感です。仕事のことでも、それ以外のことでも。家族だから、図々しく頼れる。
結局、「iUらしさとはなんだろうか」の答えは、この回では出せませんでした。3人で話しても、きれいにはまとまらない。でも、まとまらないまま考え続けること自体に意味がある気がしています。続きは、次回に。
次回の交流会|Futuring iU 第4回
2026年8月21日(金)19:00〜/東京(会場は参加申込者に別途ご案内)
拠点は浜松町・京都・愛媛・山梨・鹿児島に広げていく予定です。
iU同窓会について、くわしくは公式サイトをご覧ください。